全国で栽培可能! ブドウの育て方【完全版】
自宅でぶどう狩りを楽しみたい!・・・けど、ブドウ栽培って難しそう~。でも大丈夫、ブドウ栽培が初めての方でもぶどうの特徴をよく理解して、コツさえつかめばしっかりと花を咲かせて果実を楽しむことが出来ます!さあ、他の果樹とはひと味違った『大人の果樹栽培』をはじめてみましょう♪
目次
ブドウ苗の特徴
ブドウはブドウ科ブドウ属のつる性落葉果樹です。日本全国栽培可能で生長が早く、収穫量も多いため、近年家庭菜園で密かにブーム到来の予感・・・。つる性なのでアーチやフェンスに絡ませたり、フェンスに仕立てて生垣にも。おしゃれにお庭を演出します。
学名 | Vitis spp. |
分類 | ブドウ科ブドウ属 |
原産地 | 中近東地方 |
季節の分類 | 夏秋 |
苗木の種類 | 落葉つる性果樹苗 |
果実 | 2cmから8cm程度の丸い果実が房状になる |
果実の用途 | 生食 (皮ごと食べられる)、ジュース、ワイン |
植栽適地 | 全国で栽培が可能。 ※耐寒性あり |
自家結実性 | あり。1本で成ります。 (受粉樹不要) |
ブドウの植えつけ
!ポイント!
落葉時期は根をいじっても大丈夫ですがやさしくです。
葉がついてる時期は根は崩したり、触ってはだめです!
【植え付け適期】
植えつけに最適な時期は11月~翌年2月頃です。この時期の植え付けでは根を軽くほぐし、根を広げて植えます。それ以外の植え付けでも大丈夫です。3~6月、9~10月の植え付けは根を崩さず、乾かさないように植えます。真夏に植える場合、根を崩さずそっと植え、植え付け直後は毎日水を与えてください。
【置き場所】
ブドウは過湿を嫌います。水はけの良い場所に植えてください。水管理は乾いたら与える程度です。露地栽培の場合は真夏の何日も雨が降らない場合を除いて、あまり必要ありません。雨の多い年、水の与えすぎは果実が水っぽくなりやすいです。
【肥料の与え方】
露地栽培の場合は2月頃に与えます。鉢植えの場合は1ヶ月に1回有機肥料を与えてください。
ブドウの好きなアミノ酸がたっぷり含まれた→ ブドウの好きな肥料がオススメです。
鉢植え栽培の仕立て方
【植え付け(冬)】
ブドウの植えつけに最適な時期は11月~翌年2月頃です。植えつけ直後、地際から40cmくらいのところで主幹を剪定します。勇気が要りますが、この剪定をすることで春からの生育に大きく差が出ます。
【1年目の夏】
新しく出てきた枝の中で最も良いものを選び、まずはまっすぐに伸ばします。これが『主枝』となり全体を支える大切な枝となります。主枝がどんどん大きくなり、自力で立てなくなってきたら支柱をそえます。支柱は90cmぐらいのものが良いです。主枝から細い脇枝が伸びてきたら、2~3葉を残して脇枝を全て切り落とします。
【2年目の早春】
寒さが残るうち(芽が動きだす前)に支柱を取り替えます。棒状の支柱を3つ使用するか、つる性植物用のタワーリングサポート支柱を使用しましょう。枝を支柱から外して、新しい支柱を鉢に設置します。苗木は鉢に植えたままですよ!新しい支柱の上の方にぐるぐるぐると丸く束ねます。お好みのサイズに仕上げたら、余分な枝先は切り落とします。※無理に枝を折り曲げないように注意してください。枝には芽がついていますので、優しく取り扱ってあげてください。自信が無い方は、寒いですが落葉しきった後の真冬に誘引してあげると良いですよ。
【2年目の春】
徐々に寒さが抜けてきて気候が安定すると結果枝が出てきます。結果枝は、後に花芽がついて開花・結実する枝のことです。枝が伸びてから混雑しないよう、また、たくさんの花芽にエネルギーが分散してしまわないよう、出てきた枝を半分ぐらいの本数に減らし、残りは支柱へ誘引します。
【2年目の夏】
夏には葉が茂り、うまく育てば8月9月頃には収穫できます。
【それ以降】
夏に果実がなった枝をよーく観察して覚えておき、その枝を残して仕立てていきます。こまめに観察し、残す枝、切る枝を見極めることが大切です!
!ポイント!
支柱への巻き付けは、一カ所にぐるぐる巻くのではなく、少しずらして巻いていくと収穫しやすいですよ。最終的なサイズ感を想像しながら、お好みのサイズでコンパクトに仕立ててくださいね。
全ての植物に言えることですが、よーく観察してその植物のことを知り、季節ごとの変化にいち早く気づいてあげることが果樹栽培で一番大切なことです。
鉢植え栽培のメリット
小さくコンパクトに仕立てられるので、置き場所に困りません。移動もラクラクなので、冬場は邪魔にならないところに置いておいて、花が咲いたら人目につく玄関先に移動、果実がなったら軒下へ運んでみんなで収穫!なんてことも出来ちゃいます。
鉢植え栽培のデメリット
収穫量が少ない。鉢の大きさによりますが、だいたい3~4房の収穫が目安です。
ブドウ棚の仕立て方
【植えつけ時】
ブドウの植えつけに最適な時期は11月~翌年2月頃です。植えつけ直後、地際から40cmくらいのところで主幹を剪定します。勇気が要りますが、この剪定をすることで春からの生育に大きく差が出ます。
【1年目(春~夏)】
露地植えした苗木から新しく発生した枝の中で最も良いものを選び、まっすぐに伸ばします。これが『主枝』となり、全体を支える大切な枝となります。この主枝を中心にブドウ棚の全体像を想像していきます。主枝がどんどん大きくなり、自力で立てなくなってきたら支柱をそえます。支柱は90cmぐらいのものが良いです。そのほかの枝は光合成のために葉の数をどんどん増やし、主幹が早く太くなるように下方にねじまげ、芽先を摘み取ります。
冬までは主枝から次々に伸びるツルを誘引して伸ばし、棚面にとどいたら横方向に添え木をして誘引します。
【1年目(冬)】
1年目の冬は、主枝を残して他の込み合った枝をすべて切り落とし、1本の長~い棒状にします。主枝の先端も5分の1くらい切り戻し、来春の生長に期待します。切り戻しによって樹勢が強くなり、春の芽吹きや生長に勢いをつけます。勇気が要りますが、大切な作業です。
【2年目(春~夏)】
棚下50cmくらいの位置から主枝と反対方向に第二主枝を伸ばします。※この分岐部の位置が低いほど樹勢が強くなり高いほど弱くなります。春に発生した新梢の中でもちょうど良い位置から伸びている大きめの枝を選びましょう。1年目に伸びた枝から出る芽は上に垂直に上がるように誘引します。早い苗は2年目の夏から収穫ができるようになります
【2年目(冬)】
冬になり生長が止まってきたら、夏に作った分岐部から1m以内の不要な枝は全て除去します。また1年目と同様に、新しく伸びた枝の先端を5分の1くらい切り戻し、来春の生長に期待します。
!ポイント!
棚の高さは収穫の高さです。家族みんなで収穫を楽しみたければ、女性や子供でも手が届く高さで作るといいですよ。
全ての植物に言えることですが、よーく観察してその植物のことを知り、季節ごとの変化にいち早く気づいてあげることが果樹栽培で一番大切なことです。
棚仕立てのメリット
とにかく立派な果実がたくさん収穫できることと、安定した収穫量が期待できます。お盆休みなどで家族親戚が集まったときに、みんなでワイワイ収穫を楽しむことが出来ますね。
棚仕立てのデメリット
一度棚を作り始めたら移動が出来ません。また、ある程度のスペースが必要です。剪定で全体の大きさは調整できますが、それなりの収穫量を目指すならそれなりの広さと高さが必要です。
こんな育て方もアリ!?
棚仕立てにしたいけど棚を準備するのがめんどくさい・・・そんな場合は、大きめの鉢にブドウを植え、伸びたツルを車庫の柱に這わせて棚仕立てのようにすることもできますよ!もちろん実際にその方法で栽培し、収穫したお客様もおります。
花ひろばオンライン実店舗の鉢植え棚仕立て(3年目)
植え付け品種:サマーブラック
ブドウの果実収穫のために
おいしい実を作る秘訣は、木の力に応じた摘房!!巨峰なら30枚の葉に1房(目安)、デラウェアなら20枚の葉に1房(目安)に実を減らします。いっぱい実をつけたい場合の秘訣。木を大きくすることを優先します。木の生長を考え、「残念だが来年のため」と思って実を全て落とします。実がないので栄養を木の生長に存分に使いますので、大きく育ちます。いっぱい実をつけるのは来年以降に我慢します。
ジベレリン処理(種無しブドウ)
種無しブドウを作るために、ブドウの花が咲いた頃にブドウの花を一房ずつジベレリンに浸す作業がジベレリン処理です。タイミングは難しいですが、もちろん家庭栽培でも挑戦することが出来ますよ!ジベレリンとは植物ホルモンのひとつで、植物体内で生成され、植物の発生、生長、分化過程を調整する作用を持つ有機化合物です。※ジベレリン処理は2回にわけて行います。⇒ジベレリン処理にSTジベラ錠5
【1回目】
全ての蕾が開花した日から3日以内に行います。房がすっぽり入るくらいの細長い容器にジベレリン液を入れ、房全体を丁寧に満遍なく浸します。この処理には、おしべの花粉が交配することで出されるホルモンを人工的にめしべに与え、交配したと勘違いさせることで種が無いまま果実を成長促進させる目的があります。当日雨が降ったらうまくいかない場合が多いです。
【2回目】
1回目の処理をした10~15日以内に、再度ジベレリン処理を行います。1回目と同様に房がすっぽり入るくらいの細長い容器にジベレリン液を入れ、房全体を丁寧に満遍なく浸します。この処理には、果実の成長を促進する目的があります。こちらも当日雨が降るとうまくいかない場合が多いです。その後は通常通りの施肥、水やりで育ててくださいね。
病害虫
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かっぱん病
発生時期:6~7月、9月~11月頃6~9月ごろの雨の多い時期に見かけます。 8月ごろの高温期、温度の下がる11月以降は、発生しても広がる速度は遅いです。 土中にすむかっぱん病の細菌が、雨や水かけで跳ね返り、下のほうの葉に引っ付いて感染します。
対処法見つけたらすぐ病気の葉を取り除き、 落葉もそのままにしないですぐ始末します。 対処薬剤(トップジンMゾルなど)を3日間隔くらいで3~4回ほどまきます。※ 治まらずに全ての葉が落ちてしまったら、 枯れている、細い、小さい枝などを整理して、軽く切り戻します。 地面に落ちた病気の葉も片付け、カリ肥料を多めに与えて予防すると効果的です。 病気の葉を取り除いてから新芽が出たら、予防薬剤を散布して再発を予防します。
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黒とう病
発生時期:4~11月頃枝や葉だけではなく、花穂、果房、巻きひげも侵します。発生しやすい条件の筆頭は、雨です。あと、チッ素肥料の施しすぎです。新梢が元気よく伸びている時は、チッ素肥料は施さないほうがいいです。
対処法発芽直前に、ベンレート水和剤を散布します。生育期間中は5月中旬から下旬と6月中旬にそれぞれ一回、ジマンダイセン水和剤を散布します。
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うどん粉病
発生時期:6~7月、9月~11月頃葉やつぼみ、新芽の一部が、うどんこのような白い粉をつけているのはこの病気。粉を吹いたように白くなったこれは、茎葉につくカビの一種です。生育は著しく衰えます。春~秋の、昼夜間の温度差が大きいときによく発生します。 そのためか夏場の高温期にはあまり見かけません。多湿や、チッソ肥料の過多も一因であるようです。
対処法見つけたらすぐ病気の葉を取り除き、対処薬剤(ポロポンVなど)を3日間隔くらいで3~4回ほどまきます。※ 治まらずに全体にまんべんなく発生してしまったら、 病変の葉を全部取り、風通しの悪くなりそうな込み合った枝などを整理して、対処薬剤をまいてやります。
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べと病
発生時期:6~7月、9月~11月頃多湿で少し気温が低い、昼夜の温度差が激しい時期に発生します。 風通しがよいと発生しにくいです。 夜露が朝まで残るような気候や高い湿度、ムレが一因となるようです。 他の病と同じく、蒸らしていい事はあまりありませんね。
対処法ムレが原因となりますので、風通しをよくして定期的に殺菌剤(オーソサイドなど)を散布します。 見つけたらすぐ病気の葉を取り除き、落葉もそのままにしないですぐ始末します。 対応薬剤を3日間隔くらいで3~4回ほどまきます。
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晩腐病
発生時期:成熟期の果実で発病枝が混み合ってきて、風通しが悪いと発生しやすいです。
対処法見つけたらすぐ病気の葉を取り除き、焼却処分します。対処薬剤(トップジンMゾルなど)を3日間隔くらいで3~4回ほどまきます。
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コガネムシ
発生時期:6~7月頃10~15mmのつやつやした虫が飛来して蕾や花弁を食い荒らします。花にもぐりこんで食い荒らすほか、葉や茎も食べます。(白や黄色の、明るい花色のものが被害を受けやすいとも言われます)幼虫は(路地ならさほど問題はないが)鉢栽培の場合、鉢の中で動き回り、根をかじって枯死させることがあります。ブドウの葉を網目のように食い荒らしてしまいます。枝を揺らすと落ちるので捕殺します。
対処法被害が大きい時はディプテレックス乳剤を7月~8月頃に1~2回散布します。